現代社会において、新型コロナウィルス感染症の影響もあり、テクノロジーの目覚ましい進化、働き方の多様化、そしてライフスタイルの変化など、多岐にわたり「今まで」と「これから」では大きく違った世界になりました。その昔Amazonが登場して街から書店が消えていったように、Youtubeが登場してTVが衰退したように、テクノロジーの進歩は利便性と共に、ある業種や仕事にとっては強制的な変化をもたらします。
技術があればサロンが繁盛する、と思っている人も少なくないこの業界において、持続可能な事業を行うには社会を理解して、社会の流れを理解して、顧客ニーズの変化に目を向け、時代と共に変わっていく人が重要とすること、大切にすることを理解することが大切なのです。
テクノロジーの進化により、エステティックサロンにおいても様々なデバイスやアプリケーションが登場しています。これらを活用することで、より効果的な施術や、顧客管理の効率化が可能になります。例えば、予約の管理一つとっても、スマートフォンで予約、確認、連絡を取ることを物心ついた時から当たり前にあった人達が、今後のターゲットになってきます。そこでスマートフォンやタブレットを活用した予約管理システムの導入や、AIが本格的に顧客分析を行えるようになった際は、テクノロジーを理解している人と、そうじゃない人では大きく獲得顧客数に差がでるといえます。そのためにWeb 3.0をはじめとした、テクノロジーの進化や変化に徹感でなければいけません。
また、人においてはカスタマーエクスペリエンスの向上も重要です。エステティックサロンは顧客がリラックスし、健やかさの促進やキレイを磨くために過ごす時間を提供する場所で、顧客が快適に過ごせるような環境づくりや、施術後のアフターケアなど、顧客の「体験」にフォーカスしたサービスを提供することが求められます。AIやWebの進化、新型コロナウィルス感染症の影響により、非接触型のサービスが日常に溢れました。しかし、だからこそ人の温もりを感じる体験の価値は今までよりも上がり、その体験こそが重要になってくる部分であるため、カスタマーエクスペリエンスの追求はすべてのサービス業において必要なものになります。
そして、サービス提供を行う極めて重要な部分を占めるスタッフのスキルアップ。エステティックサロンにおいては、スタッフのスキルアップは非常に重要です。新しい美容技術や、最新の美容情報に対応できるよう、継続的な教育やトレーニングを行うことが必要であり、コミュニケーション能力や接客スキルの向上も大切です。今更何を言っているのか?と思う方も多いと思いますが、今と昔の就業者の考え方や価値は一変しています。野心や欲も原動力にできていた時代ではなく、今求められている理想の上司像として挙げられるのは、部下の意見を聞き、的確なフィードバックをしてくれる人、自分たちと同じ目線で話をしてくれて理解してくれる人、柔軟性があり部下のワークライフバランスまで考慮してくれる人等・・・。前時代的な価値観とはすっかり変わり、社会や会社、組織の在り方も根本的に変化しなければ、スタッフ獲得すらままならない状況がやってきます。
SDGsに見られるようにサステナビリティの考慮も大切で、環境問題に対する関心が高まっています。エステティックサロンにおいても、エコフレンドリーな施策や商品の提供、環境に配慮した取り組みを行っていることで社会的評価が得られます。小さな事かもしれませんが、自分たちでできる環境配慮を行うことで、その活動がお客様に伝わり、やがて大きな運動に発展します。こういったSDGsの意識を持つことも、サロン事業をサステナブルにしていくことだと理解してください。
新時代の変化はまだまだ進みます。先に挙げた変化に対応しながらも現在の顧客に対応し、スタッフの声に耳を傾けていかなければいけません。現状に対応しながら、変化に対応することはとても困難で、時間と労力は計り知れません。しかし今のままでいい、なんてことは過去、現在、未来どこをとっても存在しません。自分たちが選んだエステティックの道において、エステティックが過去のままではなく、新時代の中でエステティックの新たな価値を創造することで、エステティックサロン運営が軌道に乗り、顧客満足度の向上や、ビジネスの成長につながることだと考えます。エステティック従事者一人一人が時代の変化に敏感に対応し、社会で起きている変化を理解し、どう対応していけるかを考え、話し合うことができたら、私達の人と人の関わりを大切にしてきたエステティシャンという仕事は、今まで以上に必要とされる仕事になるのだと思います。