美容など研究所ことわざとは BIYO NADO KENKYUJO KOTOWAZA

　エステティシャンとは、人々の美と健康をサポートするプロフェッショナルであり、スキンケア、ボディケア、マッサージなど、多岐にわたるサービスを提供しています。エステティック業界は、そのサービスの特質から直接的な人の手による接触が多くを占めますが、ここ数年の社会情勢はこの業界にも変化をもたらしています。

　テクノロジーの進化と社会の動向は、エステティックのフィールドで多くのインパクトを生み出しています。AI（人工知能）とVR（仮想現実）、AR（拡張現実）の進化は、リモートでのカウンセリングやバーチャルエステ体験を可能にしました。テクノロジーを利用した、自宅でのスキンケアアドバイスや、パーソナライズされたケアプランの提供が増えています。一方で、エステティシャン自身も新しい技術を学び、取り入れる必要があります。

　また、人と人がふれあい、それにより得られる充足感こそが至高の時間であったエステティック業界は新型コロナウイルスの影響を非常に強く受けました。その間多くの手段でサロンの衛生状況を整え、それをPRすることで、少なからずお客様とのつながりを保っていたことでしょう。しかし、この影響で顧客の衛生意識が高まり、衛生的であることは慣習化されました。すべての業界で言えることですが、衛生管理は更に厳格化され、無接触型の治療法やサービスが増えるでしょう。この新しいニーズに対応するために、エステティシャンは新しいスキルを学ぶとともに、従来のハンズオンのアプローチに対する新しい方針を考えなくてはなりません。

　エステティック産業は、ホリスティックなアプローチにシフトしています。これは、顧客の内面的な健康と幸福もサポートする、心と体の両方をケアするものです。ストレス社会と呼ばれる現代では、メンタルヘルスを重視したサービスが非常に価値を持ってくるでしょう。これで必要なスキルは、顧客とのコミュニケーション能力、具体的には顧客の言葉からニーズを理解する能力が必須になります。
　今後は、今までの手法メインのエステティシャンではなく、聞き上手で選んでもらえるエステティシャンこそが、世の中に必要とされる人になるでしょう。

　サスティナビリティもまた、消費者の意識が高まっているポイントです。エコフレンドリーなプロダクトやプラクティスへのシフトは、エステティシャンが選ぶ製品や提供するサービスに新しい基準を設けることを意味します。自身の周りの人と比べてはいけません。高い金額を支払うことができるお客様ほど、こういった意識の高い人が多くいます。そこで、このサスティナビリティをしっかりと理解して、発信することで優良顧客の獲得につながります。

　更に、ダイバーシティ（多様性）とインクルージョン（包合性）に重点を置く動きもあります。エステティシャンは、異なる年齢層、肌のタイプ、性別、民族などからのクライアントをより広く受け入れるために、多様なニーズに応えることが要求されます。ダイバーシティ＆インクルージョンが謳われる今後の社会において、これを理解してそれぞれに適切な提案をすること、どんな人も受け入れることができることが、エステティシャンに求められる能力であり、先ほども話しましたが技術云々の前に、そもそもサロンに来店する顧客の見ている目線と、エステティシャンが同じ目線を持ち、サロンで出来ることの中から、最適な提案をすることができるようにならなければいけません。

　エステティシャンという職業の未来は、テクノロジー、サステナビリティ、ダイバーシティ、インクルージョン、そして心身の健康といった多くの要素に影響を受けて形成されていくでしょう。

　進歩と変化を、何となく聞いたことがある、ではなく、しっかりと学び、根本から理解することで、これらの新しいトピックに適応し、かつてないスピードで変わっている社会に対応し続けることこそが、将来的にも業界をリードするエステティシャンであるためのカギとなります。
　エステティックの業界は利用しやすい価格帯から少しがんばって利用するような価格帯と、様々な値段設定がなされています。それは多様性と言えば聞こえはいいですが、営業スタイル先行でこれらを決定することよりも、「訪れる顧客に対してどんな未来を描くことができる技術なのか？」「どのくらいのベネフィットがある商品なのか？」を明確に想像させることができる話し方やプレゼンを身に着けることが、個の時代を生き残れることだと考えます。

　今回は大まかな分析ですが、もちろん更なるディテールを追求する場合は、各ポイントをもっと掘り下げる必要があります。エステティックのフィールドは広く、多岐にわたりますので、特定の領域における専門的な分析も非常に価値あるものとなるでしょう。